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世界の主要企業がどんな環境活動を行っているのか、投資家に代わって各企業宛てに質問書を送り、企業の回答内容について分析・評価を行い、その結果を開示している非営利団体です。
2000年に英国で設立されたCDPは、投資家からの指名を受けた企業もしくは、時価総額等を基準に選定された企業に対して、毎年質問書を送付しており、企業側からの回答率も年々高まってきています。
国内ではCDP質問書の回答対象企業として、2021年度まではジャパン500選定企業を対象としていましたが、2022年度の質問書からは東証プライム上場企業1,841社が回答対象となり、各企業はその対応に追われています。
CDPが収集した企業データはスコアリングされ、主にESG投資を行う機関投資家にデータベースとして参照をされており、企業の環境への取組みの指標として全世界的に影響力を強めています。
質問書に回答し、高いスコアを獲得した企業はESG投資の対象となりやすく、企業のブランド力を高めることができます。一方、回答を行わないもしくは低いスコアの企業は投資先の選定から外れる可能性もあり、企業は慎重な対応が求められます。
CDPは現在、環境に関する質問を3つに区分し、それぞれで質問書を作成しています。
気候変動質問書では、温室効果ガスの排出量やその削減目標、気候変動によるリスクや機会など、文字通り「気候変動」に関わる事項について回答を求めています。
日本でも開示が進むTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)とも相互性が高い内容です。
水セキュリティ質問書では、水資源の不足や需要増加によるリスクや機会など、「水管理」に関わる事項について、回答を求めています。主に製造過程などに水を多く使用する企業や、水資源に影響を与える事業を行う企業に対し、回答が求められています。
フォレスト質問書では、木材、大豆、パーム油、畜牛品、天然ゴムなどの原材料を使用した商品(コモディティ)の使用が森林に与える影響など、「森林減少」に関わる事項について、回答を求められています。
CDPのスコアは大きく分けて5つに分かれています。
※上から順に、A、A-、B、B- …の順で良いスコアとなっています。
■リーダーシップレベル(A、A-)
…先進的に環境リスクをどのように解決できるかを考え、イニシアチブをとって行動している。
■マネジメントレベル(B、B-)
…自社の環境リスクや影響について把握し、行動している。
■認識レベル(C、C-)
…環境リスクについて、自社の状況を認識している。
■情報開示レベル(D、D-)
…自社の状況を把握しようとしている。
■無回答企業(F)
…回答が期限内に得られなかった企業。(回答しなかった企業)
CDPは回答対象となった企業宛てに毎年4月頃に回答要請を行い、同年の7月後半の回答期限までに、CDPのHPにて各質問書への回答を行うように求めています。
期限までに質問書を提出した企業の回答内容は、CDP独自のスコアリング基準に則り、スコアラーによる採点と機械的な自動採点がなされ、その得点により、最終的なスコアが算出されます。
回答結果については、そのスコアと共に同年の12月頃にCDPのHP上に公表されることとなります。
3.1でも前述した通り、CDPスコアは機関投資家だけでなく個人投資家が投資先企業を選定する基準の一つになっています。
現在はGoogle FinanceでCDPの気候変動スコアが企業情報として表示されるなど、企業の価値を示す指標としてもスコアの重要性が増しています。
日本国内でもESG投資の運用資産額は年々増加をしており、今後もスタンダードな投資手法として浸透していくと考えられます。
2.1でも前述した通り、CDP(気候変動質問書)はTCFDと相互性があり、その質問内容の多くがTCFD提言の開示要求項目に通じています。
TCFD同様、企業はCDPの質問書に回答することで気候変動に関わるリスクを把握し、自社の経営戦略の策定に役立てることが可能です
良いCDPスコアをとることでESG投資先として選定されるだけでなく、一般消費者に向けても環境意識の高い企業としてアピールをすることができます。主にZ世代を中心にエシカル嗜好と呼ばれる、倫理的な行動をとる消費者が増加しており、欧州などでは商品やサービスの選定基準として提供元企業の環境経営情報を参考にする動きも見られています。
投資家の要請によってCDPから質問書が送られてきた企業の場合、質問書への回答には「回答事務費用」がかかります。(3パターンのプランから選択)
※初回回答企業は費用が免除となります。
CDPの各質問書へ回答を行う場合、質問項目に沿って自社状況の把握と文章化を行わなければならないため、回答をするだけでも(特に初年度回答を行う企業においては)多くの手間と時間が必要です。
日本国においては2021年度までジャパン500選定企業がCDPの主な回答対象企業となっていましたが、2022年度からは東証プライム上場企業1,841社が回答対象企業となるなど、全世界的に回答社数は年々増加をしています。
回答数が増加するにつれ、日本国内でAスコアを獲得する企業も増えてきており、Aスコア獲得数を国別で見ても、日本は世界トップレベルの水準となっています。
2021年度には気候変動・水セキュリティ・フォレストの3つの質問書すべてでAスコアを獲得する「トリプルA企業」も日本国内で14社が認定されるなど、日本は積極的にCDPに取り組んでいる国であるといえます。
現在は東証プライム市場の企業が回答対象とされているなど、いわゆる大企業が回答対象となっていますが、今後はスタンダードやグロース、非上場企業に対してもCDPの回答要請が及ぶ可能性があります。
現在でも「CDPサプライチェーンプログラム」というサプライヤーに環境情報の開示を求める取り組みにより、取引先から中小企業に対してCDPの回答をするように要請されるケースも多く出てきており、現在は回答対象ではない企業も近い将来にCDPの回答を行わなければならない可能性が高いです。
弊社ブルードットグリーン株式会社ではCDPの気候変動コンサルテイングパートナーとしての知見を活かし、CDP質問書に回答される企業様のご支援を行っております。