SDGsの面白い取組み7選!日本の大手・中小企業の取組み事例を紹介

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SDGsの面白い取組み7選!日本の大手・中小企業の取組み事例を紹介 サムネイル

地球温暖化、貧困、格差の拡大など、私たち人類はさまざまな課題に直面しています。これらの課題を解決し、持続可能でより良い世界を築くために、2015年に国連で採択されたのがSDGs(持続可能な開発目標)です。

SDGsは、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成されており、企業、政府、NGO、そして個人がそれぞれの役割を果たし、目標達成に向けて取り組むことが求められています。

日本においても、多くの企業がSDGsを経営戦略に組み込み、社会課題の解決に貢献するビジネスを展開しています。実際に日本国内でも、自動車や金融などの大手企業が経営戦略にSDGsを組み込み、社会変革をリードし始めました。

そこで今回は、特にユニークで革新的な取組みを行っている企業を7社ピックアップしました。 これらの事例は、持続可能な社会の実現に向けて企業が貢献するための指針になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

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大手企業によるユニークなSDGsへの取組み

大手企業は、その規模と影響力を活かし、ビジネスモデルそのものをSDGsの視点から再構築しています。 単なる社会貢献活動にとどまらず、本業の強みと革新的な手法を組み合わせることで、社会課題に対する新たな価値を生み出せるからです。

実際に、従業員数1000名以上の以下の4社は、従来の枠組みにとらわれない挑戦を続けています。

  • 森永製菓:子どもたちの視点からSDGsを考える製品開発
  • 無印良品:環境配慮型の商品設計と循環型システムの構築
  • 象印マホービン:食品ロス削減と新製品開発の両立
  • ネスレ日本:資源の有効活用と社会貢献の統合

これらの事例に共通するのは、本業を通じたSDGsへの貢献と、社会課題解決のためのイノベーションの創出です。独自のアプローチで社会課題に向き合う姿勢こそが、企業の可能性を広げる鍵となるでしょう。

事例①:森永製菓株式会社

森永製菓株式会社は、子どもたちがSDGsをより身近に感じられるよう、「サステナブルなおかしって、どんなおかし?」と題したユニークなキャンペーンを実施。同社の人気商品「チョコボール」「ラムネ」「おっとっと」をベースに、未来のお菓子のアイデアを子どもたちから募集する取組みです。

このキャンペーンでは、環境に配慮した原材料の使用やパッケージの削減、食品ロスの低減など、SDGsの観点から子どもたちが自由な発想でアイデアを考案。

この取組みは、子どもたちにとってSDGsを具体的に考えるきっかけとなり、楽しみながら持続可能な社会について学ぶ機会を提供しています。また、子どもたちの発想を商品開発のヒントとして活用することで、次世代と共に持続可能な未来を考える場としても機能しています。

参考:モリナガ・サステナブル~笑顔を未来へつなぐプロジェクト~. 森永製菓株式会社

事例②:株式会社良品計画(無印良品)

2021年4月22日、無印良品は銀座店にて「みずから、はじめよう。」と題した新商品発表会を開催しました。そこで打ち出されたのが、環境配慮への新たなアプローチ。ペットボトルに代わる「アルミ缶入り飲料」の展開です。

採用の決め手は、アルミ缶の持つ2つの強みでした。

ひとつは、圧倒的なリサイクル率。 その数値は98%に達し、品質を損なうことなく何度でも再生可能です。 そしてもうひとつは、光を完全に遮断する「遮光性」。 これが内容物の劣化を防ぎ、賞味期限の延長を実現します。資源循環とフードロス対策、その双方に効く合理的な選択です。

この取組みは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」への大きな貢献といえるでしょう。プラスチック使用量の削減に加え、商品の長期保存による食品ロスの削減も同時に叶える、先進的な施策です。

また、同社の「水プロジェクト」では地域の水資源保全にも注力しており、目標6「安全な水とトイレを世界中に」や、目標14「海の豊かさを守ろう」の達成も視野に入れています。

このように無印良品は、商品開発から環境保全まで、複数の取組みを有機的に結びつけることで、より効果的なSDGs活動を推進し、情報発信を実現しています。

参考:「みずから、はじめよう。」飲料新商品発表会を開催しました|MUJI NEWS. 株式会社良品計画

事例③:象印マホービン株式会社

象印マホービン株式会社は、2021年から炊飯試験で発生する余剰米のアップサイクルに取組み、「ごはんで作った除菌ウエットティッシュ」を商品化しました。この革新的な取組みは、食品ロス削減とサーキュラーエコノミーの実現を目指しています。

開発の背景には、メーカーゆえの悩みがありました。 おいしい炊飯ジャーを開発するためには、何度もごはんを炊き、試食を繰り返す必要がある一方で、その過程でどうしても出てしまう「余剰米」。以前は堆肥化してリサイクルしていましたが、「もっと付加価値の高い活用法はないか」と模索を続けていたのです。

転機となったのは、株式会社ファーメンステーションとの協業でした。 同社が持つ「食材から高品質なアルコールを精製する技術」と出会ったことで、余剰米が除菌ウエットティッシュへと生まれ変わることに。

現在は、余剰米のアップサイクル量をさらに増やすべく、外部企業との共創によって「クラフトビール」として再生させる新たな挑戦が始まっています。単なるリサイクルにとどまらず、「環境」「食と健康」「教育」を軸とした社会貢献活動の一環として位置づけられている本施策。 SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」、そして目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献するモデルケースとして、いま注目を集めています。

参考:「ごはんで作った除菌ウエットティッシュ」|ほら、ここが象印。ZOJIRUSHI STORIES. 象印マホービン

事例④:ネスレ日本株式会社

「コーヒーの紙パッケージが、子ども服に生まれ変わる」。 そんな画期的なプロジェクトを手掛けたのが、ネスレ日本と神戸市です。

この取組みのユニークな点は、その「集め方」にありました。 「神戸を応援したい」という想いを持つ東京圏の人々に呼びかけ、専用ボックスでパッケージを回収。集まった資源を、神戸・六甲山の間伐材と混ぜ合わせ、日本の伝統技術で「紙糸」へと再生させたのです。 こうして完成したTシャツは、2023年春、神戸市内の児童養護施設の子どもたちへプレゼントされました。

この成功を機に、活動はより大きなステージへと進化しました。 資源循環を社会全体で加速させるため、ネスレ日本を含む複数組織が連携し、「一般社団法人アップサイクル」を設立。そこから生まれたのが、廃棄される資源や間伐材を紙糸にアップサイクルする「TSUMUGI」プロジェクトです。

現在は、アパレル製品としての一般販売も開始されており、一過性の活動ではなく、ビジネスとして回る「持続可能なエコシステム」へと成長しています。

参考:ネスレ日本と神戸市による、東京圏から神戸へ想いを紡ぐプロジェクト全国初!紙パッケージと間伐材を“アップサイクル”した子ども服を神戸に届ける取組みを、10 月 24 日(月)より開始. ネスレ日本株式会社

サステナビリティとは?必要性や企業の取り組み例を分かりやすく解説. ネスレ日本株式会社

中小企業によるユニークなSDGsへの取組み

中小企業のSDGsへの取組みは、大手企業とは異なる独自の視点とアプローチで注目を集めています。その多くは、本業の技術や強みをダイレクトに活かし、環境保護や地域課題の解決に結びつけているのが特徴です。

ここからは、特にユニークな「創意工夫」で課題解決に挑む3社をご紹介します。

  • 株式会社ワンプラネット・カフェ
  • ⽊内酒造株式会社
  • ウォータースタンド株式会社

これらの事例は、中小企業がSDGsに取り組む際のヒントとなるだけでなく、規模に関係なく社会課題の解決に貢献できることを示す好例となっています。

事例①:株式会社ワンプラネット・カフェ

株式会社ワンプラネット・カフェのSDGsへの特徴的な取組みは、廃棄されるバナナの茎を有効活用した「バナナペーパー」の製造です。

本来は捨てられるはずの茎から繊維を取り出し、日本の伝統的な「和紙技術」を応用して紙にする。環境負荷を極力抑えたこの製品は、名刺やノート、卒業証書などに形を変え、日本初のフェアトレード認証紙(※)として広く流通しています。

また、ザンビアでの事業を通じて現地の雇用創出や技術移転も実現。さらに、SDGsをテーマとしたワークショップやコンサルティング、スウェーデン視察ツアーなども実施し、SDGsの普及啓発にも力を入れています。

同社の取組みは「ワンプラネット・ペーパー協議会」を通じて多くの企業に採用されており、SDGsに貢献する商品として高く評価されています。持続可能な社会の実現に向けて、環境保護と社会課題の解決を両立させる革新的なモデルとして注目です。

参考:【東京都】株式会社ワンプラネット・カフェ ~SDGsすべてに貢献するバナナペーパーを生産・販売~. 環境省.

事例②:⽊内酒造株式会社

1823年創業の老舗、木内酒造株式会社。 主力商品の「常陸野ネストビール」は世界50カ国以上で展開されていますが、同社が掲げるのは、SDGsを経営に取り入れた「持続可能な酒造り」です。

特に注目を集めたのが、「SAVE BEER SPIRITS」という取組み。 コロナ禍で廃棄危機にあったビールを回収・蒸留し、新たな価値を持つ「クラフトジン」として再生させました。また、同様に余剰ビールから消毒用アルコールを製造し、医療機関へ無償提供するなど、地域への支援も行っています。

さらに現在は、ウイスキー製造にも注力しています。 2022年に誕生した自社ブランド「日の丸ウイスキー」では、規格外の大麦を原料として活用。栽培から製造までを地元・茨城で完結させることで、輸送にかかるフードマイレージの削減も実現しました。

創業200年を超える歴史の中で培ってきた伝統的な技術と、現代のSDGsの考え方を融合させた同社の取組みは、多くのメディアでも取り上げられ、サステナブルな企業活動のモデルケースとして注目されています。

参考:【茨城県】⽊内酒造株式会社 〜SDGsを経営のヒントに、持続可能な酒造りを⽊内酒造から世界へ〜. 環境省.

事例③:ウォータースタンド株式会社

浄水型ウォーターサーバーのレンタル事業を行う、ウォータースタンド株式会社。 同社が掲げているのは、「2030年までに使い捨てプラスチックボトル30億本削減」という明確な数値目標です。

その実現に向け、2019年から推進しているのが「ボトルフリープロジェクト」。 地方自治体と協定を結び、街中に給水スタンド(ウォーターステーション)を設置することで、誰もが気軽にマイボトルを使える環境づくりを進めています。

取組みは対外的なものだけにとどまらず、営業活動における自転車の利用や、エコサイクル手当の導入など、自社の環境負荷低減も徹底。2024年6月時点でのプラスチック削減実績は約1億本に達するなど、具体的な成果を積み上げています。

また、学校での出張授業や自治体イベントへの参加など、啓発活動にも注力。 「水」という身近なインフラを通じて、循環型社会の定着を目指す姿勢が評価されています。

参考:【埼⽟県】ウォータースタンド株式会社 〜2030年までに使い捨てプラボトル30億本削減に取り組む〜. 環境省.

『ウォータースタンドレポート2024』. ウォータースタンド株式会社

まとめ

SDGsへの取組みを通じて、企業は大きな変革を遂げつつあります。本記事では、大手企業と中小企業の両方の先進的な取組み事例を紹介しました。それぞれの企業規模や特性に応じた独自のアプローチから、重要な示唆が得られます。

大手企業の事例からは、経営資源を活かした大規模な取組みの可能性が示されました。森永製菓の子ども向けSDGs啓発やネスレ日本の資源循環など、豊富なリソースを活用した包括的なアプローチが特徴となっています。

一方、中小企業の事例からは、機動力と創造性を活かした革新的な取組みが見られました。ワンプラネット・カフェのバナナペーパー開発や木内酒造の循環型ビジネスなど、独自の視点から社会課題の解決に挑戦しています。

これらの事例に共通するのは、本業を通じた取組みと、多様なステークホルダーとの協働です。企業規模に関わらず、自社の強みを活かしつつ、地域社会や他の企業と連携することで、より大きな社会的インパクトを生み出すことができます。

SDGsの達成には、大手企業の影響力と中小企業の革新性の両方が不可欠です。今後も企業には、それぞれの特性を活かしながら、持続可能な社会の実現に向けてさらなる貢献が期待されています。

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監修者のプロフィール

榎本 貴仁の写真
榎本 貴仁
(株)エスプールブルードットグリーン 執行役員 営業本部長 兼 環境経営推進本部長

CDP回答やGHG排出量算定など、環境経営に関するコンサルティングサービスの営業本部長を務めています。

<出典>

モリナガ・サステナブル~笑顔を未来へつなぐプロジェクト~|森永製菓株式会社.(参照2025.08.14) 

「みずから、はじめよう。」飲料新商品発表会を開催しました | MUJI NEWS | 株式会社良品計画.(参照2025.08.14) 

象印マホービン株式会社 

ハレと穂.象印マホービン株式会社(2025.11.22参照) 

全国初!紙パッケージと間伐材を“アップサイクル”した子ども服を神戸に届ける取組みを10月24日より開始 | ネスレ日本.(参照2025.08.14) 

ネスレ日本と神戸市による、東京圏から神戸へ想いを紡ぐプロジェクト全国初!紙パッケージと間伐材を“アップサイクル”した子ども服を神戸に届ける取組みを、10 月 24 日(月)より開始(参照2025.08.14) 

【東京都】株式会社ワンプラネット・カフェ ~SDGsすべてに貢献するバナナペーパーを生産・販売~|環境省.(参照2025.08.14) 

One Planet Café|ワンプラネットカフェ(参照2025.08.14) 

【茨城県】⽊内酒造株式会社 〜SDGsを経営のヒントに、持続可能な酒造りを⽊内酒造から世界へ〜|環境省.(参照2025.08.14) 

⽊内酒造株式会社(参照2025.08.14) 

【埼⽟県】ウォータースタンド株式会社 〜2030年までに使い捨てプラボトル30億本削減に取り組む〜|環境省.(参照2025.08.14) 

ウォータースタンド株式会社(参照2025.08.14)