SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは?概要と現状の問題点を徹底解説!

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かつての経済は「資源の無限性」を前提に、大量生産・大量消費によって発展を遂げてきました。しかし現在、私たちは「有限で劣化する地球」という避けられない事実に直面しており、もはや持続可能性の追求は一部の企業だけの取り組みではなく、すべての企業にとって必要不可欠な生存戦略となっています。
企業の社会的責任もまた、時代と共に大きく変化しています。かつて主流だった利益の一部を社会に還元する「CSR」という考え方は、SDGsの採択を経て、現在では社会課題の解決と自らの利益を両立させる「CSV」へと進化しました。なかでも、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」への対応は、もはや単なる貢献ではなく、資源高騰への対策やサプライチェーンにおけるリスク管理に直結する、極めて重要な経営課題です。

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SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは

目標12「つくる責任 つかう責任」が掲げる定義は「持続可能な生産形態を確保すること」です。大量生産・大量消費・大量廃棄が常態化している現代社会においてこの目標を達成するには、生産者である「企業」と、利用者である「消費者」の双方が持続可能な選択を積み重ねていく必要があります。
企業側に求められるのは、製品のライフサイクル全体に対する責任です。具体的には、製造工程でのエネルギーロスを抑える「省資源」、企画段階からリサイクルのしやすさを見据える「リサイクル設計」、そして原材料の調達から廃棄までを透明化する「サプライチェーン管理」といった、実効性のあるアクションが重要性を増しています。
また、企業側に留まらず、消費者の意識も劇的に変わりつつあります。近年、商品選びの基準は価格や利便性だけではありません。その製品が社会や環境にどれだけ配慮されているかという基準で製品を選ぶ「エシカル消費」が日本でも着実に定着しているのです。

目標12には、「より少ない資源でより多く、より良く」という象徴的なスローガンがあります。これは、限られた資源の中で豊かな社会を維持することを指していますが、現実の消費活動はこの理想を上回り、地球の限界を脅かしています。この現実は具体的な数値にも表れています。世界的な人口増加や医療技術の発達による健康水準の向上は、人類が地球に与える負荷(エコロジカル・フットプリント)を増大させ続けてきました。その結果、現在の人類の資源消費量は、地球が本来持っている再生能力(バイオキャパシティ)を大幅に超過しており、今の生活を維持するためには「地球1.7個分」の資源が必要とされる状態に陥っています。
この危機的状況を脱するために不可欠なのが、「デカップリング」です。
これまでの経済モデルは「経済成長に比例して環境負荷が増大する」という構造でした。デカップリングは、この連動を断ち切り、「経済を成長させながらも、環境負荷を低減させていく」という取り組みを指します。このような視点を企業経営に取り入れ、地球への負荷を抑えながら豊かさを追求していくことこそ、私たちが目指すべき「より少ない資源でより多く、より良く」という理想の実現に他ならないのです。

具体的なターゲット

では、企業は具体的に目標12のどの指標に向き合うべきなのでしょうか。皆様に特に関連の深いターゲットをピックアップしていきます。

【目標12-3 食品ロスの削減】
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、 収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。

【目標12-4 製品ライフサイクルを通じた化学物質・廃棄物の適正管理】
2030年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品のライフサイクルを通じた化学物質やすべての廃棄物の適正管理を実現する。大気・水・土壌への放出を大幅に削減することで、人の健康や環境への悪影響を最小限に留める。

【目標12-5 廃棄物の発生抑制と循環】
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

これらのターゲットは、いわば現場における「実務的なゴール」です。しかし、これらの活動を単なる「社内の努力」で終わらせず、企業の市場価値へと変換するためには、もう一つの重要なプロセスが必要になります。
それが、【目標12-6 持続可能性についての情報開示】です。
特に大きな会社やさまざまな国で活動するグローバルな会社には、持続可能な取り組みをはじめ、会社の成果を報告する定期的なレポートに持続可能性についての情報を含めるようすすめています。気候変動や資源循環への対応は、今や単なる環境活動の域を超え、ビジネスの継続を左右する最優先の経営課題となりました。そのため、自社の取り組み状況を把握し、その実態を正しく公開する「情報開示」の有無が、企業の信頼性を左右する決定的な要素となっているのです。
具体的には、適切な情報開示が、取引先企業との良好な関係を維持するための「取引条件」や、機関投資家からの「投資条件(ESG投資)」に直結しています。つまり、綿密な調べによる根拠あるデータに基づいた透明性の高い情報発信こそが、経営の持続可能性を証明し、市場での競争力を高める鍵となっているのです。

日本におけるSDGs達成状況と直面する課題

最新の『持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)』によると、日本のSDGs達成度は世界167か国中世界19位となっています。上位にランクしているため、一見順調に進んでいるように思えるかもしれませんが、項目別に詳細を見ると、深刻な課題が浮き彫りになっています。
特に、目標12「つくる責任 つかう責任」は「赤信号(大きな課題が残る)」という厳しい評価でした。スコア自体は緩やかに向上しているものの、目標達成に向けたスピードは依然として不十分です。この停滞を招いている主な要因は、大きく分けて2つあります。

膨大な廃棄物の発生

特に深刻なのが、「食品ロス」と「廃プラスチック」の問題です。
日本の食品ロス削減は進んでいるものの、依然として深刻な状況です。環境省の令和5年度推計によれば、家庭からは年間約233万トンもの食品が捨てられており、その約8割以上が「直接廃棄」や「食べ残し」で占められています。 UNEPの報告では、2008年から2019年にかけて日本の食品ロスが1人あたり28%減少したことが示されていますがその一方で、家庭内での無意識な廃棄習慣が、依然として膨大な資源の無駄を生み出し続けているのが現実です。

消費者庁 食品ロスに関する円グラフ
出典:「食品ロス削減関係参考資料(2025.6.17)」消費者庁.を基に弊社作成

また、廃プラスチックに関しては焼却時の熱を利用する「サーマルリサイクル」への依存が極めて高いのが現状です。これは世界基準では真の「資源循環」とは見なされにくく、国際的な脱炭素の流れからも、今後は「燃やす」以外の再資源化手法へのシフトが強く求められています。

低迷するリサイクル率

廃棄量が多い一方で、それを受け止める「リサイクル率」の伸び悩みも、評価が改善しない大きな要因です。環境省の「一般廃棄物の排出および処理状況等(令和5年度)について」によると、令和3年度以降、横ばい、あるいは微減傾向にあり、改善の兆しが見えない状況でした。

環境省作成 2014年から2023年までの総資源化量、リサイクル率の推移に関するグラフ
出典:「環境省報道発表(2025.3.17)」環境省をもとに弊社作成

この状況を打破するために2022年に施行されたのが、「プラスチック循環促進法」です。この法律は、プラスチック製品の「設計」から「販売」、そして「回収・リサイクル」に至るまでに関わるあらゆる主体に対し、具体的なアクションを義務付けています。
ここで注目すべきは、この法律に明確な罰則が規定されている点です。
取り組みが不十分な企業に対しては、指導や助言に続き「勧告・公表・命令」へと段階が上がります。その措置を講じたのちに、命令にも違反した場合は「50万円以下の罰金」が処せられます。ただ、企業にとって真の経営リスクは、罰金の金額そのものではありません。「環境対応を怠っている企業」として社名が公表されることによる社会的信用の低下こそが、投資家や消費者からの評価に直結する、回避すべき最大の懸念事項なのです。

企業が取り組むべき具体策と先進事例

これまでの日本、そして世界の経済を支えてきたのは、リニアエコノミー(直線型経済) というシステムでした。これは大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とし、モノを作れば作るほど環境に負荷がかかる仕組みです。ただ、このモデルでは、地球環境の限界を超えてしまうだけではなく、企業の将来的な成長も阻害しかねません。
対してこれから先、私たちが目指すべきなのが「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」です。これは、廃棄物を出さない製品デザインや、資源の効率的・循環的な利用とストックの有効活用をサービス等にも組み合わせることで、経済効率性と資源効率性を両立させる社会経済システムです。

サーキュラーエコノミーについては、こちらの記事をあわせてご覧ください。

サーキュラーエコノミー
「サーキュラーエコノミー」と「3R」はどう異なる?取り組むメリットや事例をわかりやすく解説!

ここからは、循環型経済の実現と目標12達成に向け、先進的な取り組みを推進している企業の事例を紹介します。

株式会社ファーストリテイリング

ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングは、「Life Wear」という理念に基づき、「事業活動」と「サステナビリティ」が一体となった新しい産業の創出を目指しています。2019年度比で2030年温室効果ガス排出量を自社領域では90%、サプライチェーン領域では20%削減するという目標に向け、空調の自動制御システム導入による省エネを推進しています。なかでも注目すべきは「RE.UNIQLO」と呼ばれる取り組みです。この取り組みでは回収した衣類を、リユースとして活用し、難民キャンプや被災地への緊急災害支援などを推進しています。それ以外にも、「服から服へのリサイクル」という新しい挑戦を開始しており、リサイクル素材であっても高い技術力を維持する技術革新を進めています。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、カーボンニュートラルの実現に向け、原材料や製品の価値を可能な限り長時間維持する仕組みづくりに注力しています。
特徴的なのは、廃棄物を最大限に抑えるための工夫を、あらかじめ製品の「設計」段階から織り込んでいる点です。現在は「第7次トヨタ環境プラン」に基づき、電動車の普及を見据えた安全・効率的な「電池3R(①リデュース、②リビルト・リユース、③リサイクル)」の構築をグローバル規模で推進しています。そして、各国の地域パートナーと連携し、一企業の枠を超えた社会基盤の整備にまで貢献の幅を広げているのです 。

イオン株式会社

国内小売最大手のイオン株式会社は、「イオン脱炭素ビジョン2050」に基づき、2040年までに国内のすべての店舗やオフィスから出るCO₂をゼロにすることを掲げています。なかでも、消費者を巻き込んだ「フードドライブ」の仕組みは、地域に根差した小売業ならではの取り組みです。各家庭で消費しきれない未開封の加工食品を店頭で回収し、地域のフードバンク団体等へ寄贈するこの活動は、企業単体では解決が難しい課題に対し、地域社会とお客様とが連携して取り組む新しい資源循環の形を示しています。
こうした小売の現場からサプライチェーン全体を見据え、食品廃棄削減目標に向けて実行力のある活動を推進しています。

SDGsに取り組む企業のメリットと注意点

SDGsへの対応は、単なる社会貢献の域を超え、企業に大きな長期的利益をもたらします。

  • コスト削減(省エネ・省資源)
  • 採用力・ブランドの向上(Z世代への訴求)
  • 資金調達(ESG投資)での有利性


省エネや資源のリサイクルを徹底することで、無駄な支出を抑え、直接的なコスト削減と経営効率の向上につなげることができます。また、環境に配慮した姿勢は、若い世代(Z世代など)からの信頼を獲得し、ブランドイメージの向上や優秀な人材の確保という長期的な経営基盤の強化も期待できます。いまや投資家による企業の環境配慮に関する評価は厳しくなっており、SDGsへの積極的な関与は「ESG投資」の対象として高く評価されるなど、資金調達を有利に進めるための必須条件と言えるでしょう。

一方で、SDGsへの対応には経営上のリスクも潜んでいます。

  • 実態が伴わない「グリーンウォッシュ」のリスク
  • 不都合な真実(サプライチェーンの人権問題等)の隠蔽リスク
  • 第三者認証や透明性の重要性


実態が伴わないのに「環境に配慮している」と見せかける「グリーンウォッシュ」や、サプライチェーンにおける人権問題などの「不都合な真実」を隠蔽することは、現代のビジネスにおいて許されません。万が一これらが発覚した場合、これまで積み上げてきた社会的信頼は一瞬で失われ、経営に深刻なダメージを与えることになる恐れがあります。
だからこそ、自社の取り組みが正しいかどうかを証明する「第三者認証」を受け、精度の高い情報を開示することが、健全な経営を維持するための鍵となります。曖昧なデータではなく、客観的な事実に基づいた情報開示こそが、ステークホルダーからの信頼をより強固なものにするのです。

グリーンウォッシュについては、こちらの記事をあわせてご覧ください。

グリーンウォッシュとは?
グリーンウォッシュとは?企業が取るべき対策と最新動向をcheck✓

まとめ

本コラムでは、SDGs目標12の概要から、最新の達成度ランキングから読み取れる課題、また企業がこれから先求められる役割について具体的な事例をもとに詳しく解説しました。 ただ、目標12はすぐに達成できるような目標ではなく、長期的な視点が必要不可欠な目標です。しかし、日々の小さな学習や自社の立ち位置を把握することこそが、自社の経営基盤を強固にする確かな一歩となります。
また、先進事例から学びを得るだけではなく、まずは実際に自社で実践してみること、そして他社と手を取り合い、新たな価値を共創していくことが、持続可能な未来を創造する鍵となります。

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監修者のプロフィール

榎本 貴仁の写真
榎本 貴仁
(株)エスプールブルードットグリーン 副社長

人材系上場企業を経て、ブルードットグリーン㈱に参画。コンサルティング事業の拡大を営業責任者として牽引。 1,000社を超えるプライム上場企業との脱炭素領域における対話を実施。上場企業の経営者、担当者が抱える課題が多種多様にわたる中、企業それぞれの状況に応じたサステナビリティ経営を伴走支援を通して日々サポートしている。

〈出典〉
第1章 循環型経済社会への動き.環境省.(参照2026.02)
すべての企業が持続的に発展するために.(2020.03).環境省.(参照2026.02)
第3章 地域循環共生圏を支えるライフスタイルへの転換.環境省.(参照2026.02)
Sustainable Development Report 2025.(2025).SDGs Transformation Center.(参照2026.02)
一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について.(2025.03).環境省.(参照2026.02)
第2章 持続可能な経済社会活動に向けた循環型社会ビジネス.環境省.(参照2026.02)
第2節 持続可能な消費行動への転換.環境省.(参照2026.02)
SDGグローバル指標(SDG Indicators).外務省.境省.(参照2026.02)
Food Waste Index Report 2024.(2024.03).UNEP.(参照2026.02)
食品ロス削減関係参考資料.(2025.06).消費者庁.(参照2026.02)
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律.(2022.4).e-eov法令検索.(参照2026.02)
第2章 循環経済への移行.(2021).環境省.(参照2026.02)
廃棄物管理と資源効率の向上.FAST RETAILING.(参照2026.02) 
RE.UNIQLO (リサイクル・リユース)について.ユニクロ.(参照2026.02) 
トヨタ、サーキュラーエコノミー(資源循環型の経済システム)の実現に向け、電池3Rの取り組みを加速.(2023.11.17).TOYOTA.(参照2026.02)
環境.イオンモール.(参照2026.02)

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