【2025年最新】RE100とは?RE100の最新技術要件について徹底解説! 

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【2025年最新】RE100とは?RE100の最新技術要件について徹底解説! 

RE100とは、企業が自社の事業活動で使用する電力をすべて再生可能エネルギー100%にすることを目指すイニシアチブです。2025年3月にRE100達成のための要件が記載された技術要件が改訂され、脱炭素化を目指すために要件がより厳格になりました。本コラムでは、改定内容を踏まえた技術要件を中心にRE100について詳しく解説します。

RE100とは

RE100とは、「Renewable Energy 100%」の略称で、企業が自らの事業活動の電力使用量を再生可能エネルギー100%で賄うことを目指す国際的なイニシアチブです。

RE100は、イギリスの国際的な非営利団体(NPO)である「The Climate Group」によって運営されています。

RE100設立の背景

RE100は、2014年に「Climate Week NYC」というイベント期間中に初めて多国籍なグローバルメンバーを迎えて発足しました。その後、最初の2年間で、Apple、Nike、Googleなどの国際的な企業がメンバーとして加わり、日本では株式会社リコーが同時期に国内で初めて参加を表明しました。

その後も、特にアジアやヨーロッパなどの地域においてRE100への取組が拡大しています。

RE100への参加状況

RE100への参加企業数は年々増加しており、2025年8月1日時点で444の企業が参加しています。国別でみると、日本はアメリカと並び93社で最多となっています。2024年度時点ではアメリカが最も参加企業数が多く、日本は2番目でしたが、2025年に新たに4社がRE100に参加したことで、アメリカと並ぶ参加状況となりました。今後も世界各地でRE100への参加企業が増加していくことが想定されます。

RE100の参加企業数推移
国別のRE100参加状況

出典:RE100 Members. (2025). CLIMATE GROUP RE100. を基に弊社作成 

【2025年3月改定】RE100の最新技術要件

ここまでRE100の概要を説明してきましたが、企業がRE100を達成するためにはどのような方法があるのでしょうか。RE100では「技術要件(Technical Guidance)」と呼ばれる再エネ100%を満たすために必要な要件が定められています。この技術要件はこれまでに何度か改定が行われてきましたが、2025年3月に新たに改訂されました。

追記された内容は主に3つです。

  • 設備運転開始から15年以内ルールの緩和
  • 石炭混焼の電力使用禁止
  • 証書の償却確認の徹底

これらの改定内容について触れる前に、RE100の技術要件の具体的な内容について詳しく解説します。

RE100技術要件

それでは、RE100の技術要件について詳しく解説していきます。RE100技術要件には「RE100対象の再生可能エネルギー資源」「再生可能エネルギー電力の調達方法」「再生可能エネルギーの調達要件」の3つの項目が定められています。

RE100対応の再生可能エネルギー資源

RE100で認められている再生可能エネルギー資源には規定があり、対象となるエネルギーは以下の通りです。

  • 風力
  • 太陽光
  • 海洋(波力と潮力)
  • 持続可能なバイオマス(バイオガスを含む)
  • 持続可能な水力

技術要件の対象となる資源には水素は含まれておりません。これは、水素は電力と同じようにエネルギーを伝達する手段(二次エネルギー)であり、風力や太陽光といったエネルギー資源(一次エネルギー)ではないからです。つまり、製造に使用されるエネルギー資源が再生可能エネルギー由来のものであれば、水素も再生可能エネルギーとみなされます。バイオマスと水力も同様に、持続可能性がなければ対象外となり、RE100に適合するためには持続可能性の保証を第三者認証によって取得する必要があります。

再生可能エネルギー電力の調達方法

RE100対象の再生可能エネルギー電力の調達方法について、技術要件では5つの調達方法が示されています。

自家発電

ここからは、再生可能エネルギー電力の調達方法について解説していきます。

まず、「自家発電」です。文字通り企業自身が所有・運営する再エネ発電で発電した電気を自家消費して調達する方法です。自家発電による再エネの調達であれば特に条件はなく、RE100の対象となります。

直接調達

2つ目は「直接調達」です。直接調達は発電事業者から電力を調達し、契約を結ぶ方法で、PPA(Power Purchase Agreement)契約と呼ばれる電力購入契約がこの方法に該当します。PPAとは、企業や自治体が保有する施設の屋根などを事業者が借り、無償で発電設備を設置し、発電した電気を企業や自治体が電気を使用することで、電気料金とCO2削減につながるモデルです。PPAには「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」に分かれ、さらに「オフサイトPPA」は「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」に分かれます。

・オンサイトPPA

オンサイトPPA」とは、企業の電力を使用する拠点の敷地内に再エネ設備を設置し、電量を直接使用する方法です。

オンサイトPPAの仕組み

・フィジカルPPA

フィジカルPPA」は、「オンサイトPPA」とは異なり、敷地外に再エネ設備を設置し、送配電事業者を通じて再エネ電力を供給する方法です。

フィジカルPPAの仕組み

・バーチャルPPA

バ―チャルPPA」は、再エネ電力を「電気の価値」と「環境価値」に切り分けて、「環境価値」のみを企業が購入することで、再エネ電力を利用しているとみなされる方法です。この場合、実際に使う電気は別途調達する必要があります。

バーチャルPPAの仕組み

PPAに関する詳しい解説はこちらをご覧ください。

> 今話題のオフサイトPPAとは?-企業の再エネ電力活用に向けて-

電力供給会社との契約

3つ目には、「電力供給会社との契約」です。この方法は、名前の通り、再エネ発電事業者ではなく、小売電気事業者と契約して再エネ電力を調達します。契約方法としては、小売電気事業者が特定のプロジェクトから調達した電力を購入する方法や、小売電気事業者が提供する「再エネ電力メニュー」を購入して、再エネ電力を調達する方法があります。

エネルギー証書の調達

4つ目に「エネルギー証書の調達」です。企業は、自社で消費した電力量に応じてエネルギー証書を購入することができます。日本では、再エネJ-クレジットやグリーン電力証書、非化石証書などが該当します。

受動調達

5つ目に、「受動調達」です。「受動調達」とは、企業が特別な手続きをしなくても、再エネ電力を受け取れる調達方法のことです。適用されるケースとして、北欧などの地域では、電力市場の大部分が再エネで構成されており、「再エネ電力を供給する」という契約を結ばなくとも再エネ電力が届く場合があります。また小売電気事業者が再エネ比率を保証しており、供給電力を指定しなくとも一部が再エネであるという場合も、受動調達に該当します。この受動調達は日本では適用されておらず、RE100における条件も厳しいもので、現在基準を満たしている国は、パラグアイ、ウルグアイ、エチオピアの3か国のみです。

再生可能エネルギー電力の調達方法
出典:RE100 TECHNICAL CRITERIA. (2025.May). CLIMATE GROUP RE100. を基に弊社作成 

調達方法ごとの「追加性」に関する考え方

ここまで、RE100技術要件における再エネ調達方法ついて解説してきました。しかし、これらの調達方法の中には、「追加性(additionality)」の観点からRE100に適用するために条件が課せられている調達方法もあります。

そもそも再エネ電力の「追加性」とは、企業が再エネ電力を調達することで、新たな再エネ発電設備の建設や稼働が促進されることを指します。つまり、企業の再エネ調達が「新しい再エネ普及を後押ししているかどうか」ということです。RE100では、「追加性」のある再エネ発電設備から電気を調達しているかという点が非常に重要です。「追加性」の観点で調達方法の要件の一つとされるのが、「運転開始または再稼働が15年以内の発電設備でなければならない(以下、「15年ルール」とする)」という条件です。今回の改定では、この「15年ルール」を含む再エネ調達要件が改訂されました。次節から詳しく解説します。

2025年3月に改定された調達要件の解説

RE100の技術要件には、調達する再エネ電力にいくつか条件を設けた「再エネ調達要件」が示されています。この調達要件をクリアしていなければRE100に適用されません。2025年3月の技術要件の改定では調達要件において3つの変更がありました。

15年間の運転開始または再稼働の期限

1つ目は、「15年ルール」の緩和です。そもそも「15年ルール」とは、「運転開始または再稼働が15年以内の発電設備でなければならない」という条件です。RE100の目標は、企業によるゼロカーボン電力への移行を加速させることにあります。この目標を達成するための効果的な調達として、「長期契約」、「特定プロジェクトとの契約」、「最近稼働した再エネ電力プロジェクトからの調達」の3つが挙げられています。このうち「最近稼働した再エネ電力のプロジェクトからの調達」の意図するのは、古すぎる再エネ設備は新たな再エネ設備の導入を促進できないと考えられるためです。したがって、「運転開始または再稼働が15年以内の発電設備でなければならない」という条件があります。

15年ルール
出典:RE100 TECHNICAL CRITERIA. (2025.May). CLIMATE GROUP RE100. を基に弊社作成 

ただし、すべての調達方法にこの条件が適用されるわけではなく、以下の調達方法については15年のルールが免除されます。

  • 自家発電
  • 自営線によるフィジカルPPA
  • 長期契約での再エネ電力の調達
    >フィジカルPPA
    >バーチャルPPA
    >電力供給事業者との特定発電プロジェクトの契約
    >特定のプロジェクトのエネルギー証書の購入
  • 受動調達
  • 2024年1月1日より前に運用開始される契約

自家発電やフィジカルPPAなどによる再エネ電力の調達は、エネルギー証書などに比べて、コスト面などで再エネ調達のハードルが高いとみなされ、再エネ設備の導入を促進する活動として15年ルールが免除されていると考えられます。

また、再エネ電力を調達する企業は、総電力消費量のうち15%までであれば15年以上前のプロジェクトから調達することが認められています。つまり、企業が自社の総電力消費量の15%を再エネ証書等で調達する場合は15年ルールの適用が免除されます。もし50%を調達する場合は、そのうち15%は「15年ルール」が免除され、残りの35%は15年ルールの要件を満たさなければなりません。ただし、RE100では将来的には15%基準を可能な限り廃止することを推奨しておりますので、今後は15年ルールを意識した調達は必要です。

15年ルールを意識した調達パターンの説明
出典:RE100 TECHNICAL CRITERIA. (2025.May). CLIMATE GROUP RE100. を基に弊社作成 

2025年3月の技術要件の改定では、これらの要件に新たに追記されました。

通常、再エネ設備が運転を開始または再稼働した直後に、電力の購入者に電力が供給されます。しかし、一部地域などでは規制により、稼働後のテスト期間は電力を購入できず、運転開始日が遅れてしまう場合があります。この遅延が、規制上の理由である、かつ最大で1年以内の遅延である場合のみ15年ルールが免除されるようになりました。

石炭混焼の禁止

2つ目の要件は、石炭混焼の廃止です。混焼とは、2種類の異なる燃料を同時に燃焼させて発電すること指します。多くの場合は、バイオマス木質ペレットなどの再生可能燃料と、石炭などの化石燃料を組み合わせて燃焼させることが一般的です。今回の改定前までは、バイオマス混焼に関して、化石燃料の割合が高い場合でも再生可能エネルギー電力を使用していると判断されていました。しかし、今回の改定により石炭火力発電との混焼は一切認められなくなりました。規則が厳格化された背景としては、石炭混焼を認めることが石炭の需要を維持させることになり、脱炭素化の妨げになるという懸念があります。

証書の償却の徹底

3つ目は、エネルギー証書の償却の徹底です。この要件は今回の技術要件で追記された項目になります。この改定により、すべての市場において企業が主張する再エネ証書の償却が義務化されました。償却処理が行われたことを証明できなければRE100の対象として認められなくなります。

今回の改定の重要ポイント

改めて、今回の技術要件の改定で特に注目されたのは、再エネ電力調達要件である「15年ルールの緩和」、「石炭混焼の禁止」、「証書の償却の徹底」です。「15年ルールの緩和」を除いた2つの要件の追加は、再エネ電力100%の実現を後押しする内容となっています。RE100の技術要件はおよそ2年ごとに見直されています。今回の改定により、RE100の技術要件はさらに厳格化されましたが、市場の再生可能エネルギーへの移行や電力網の脱炭素化を加速させる大きな改定になったといえるでしょう。

RE100に対応する各種証書の条件

次にRE100に対応する各種証書の条件を見ていきます。前述のとおり、エネルギー証書には15年ルールが存在しますが、それ以外にも、国ごとにRE100に適用する証書は異なります。

国内証書

まず国内で使える証書は「非化石証書」、「グリーン電力証書」、「再エネJ-クレジット」の3種類です。ただし、どの証書も「15年ルール」の対象となっているため注意が必要です。さらに「非化石証書」については、トラッキング付きであれば認められています。

国内で使える証書
出典:気候変動をめぐる国際的なイニシアチブへの対応. (2025. April). 経済産業省. を基に弊社作成 

海外証書

続いて、海外の証書については、「I-REC(International Renewable Energy Certificate)」や「GO(Guarantee of Origin)」、「RECs(Renewable Energy Certificates)」などがRE100に対応しています。ただし、これらの証書は自由に利用できるわけではありません。例えば、条件の一つとして、同一国内または同一市場であることが求められています。

I-REC

「I-REC」の場合、例えば、使用電力がアルゼンチンであれば、アルゼンチンで発行された「I-REC」を使用しなければなりません。「I-REC」は、多くの国で導入されている証書ですが、中国に関しては2024年9月より廃止となり、中国が発行する再エネ証書「GEC(Green Electricity Certificate)」として統一化されました。そのため、使用電力が中国であれば「GEC」のみがRE100対応の証書となります。

GO

「GO」については、例えばアイルランドの使用電力に対して、アイルランドに限らず他国で発行された「GO」であれば使用可能です。また、「GO」の発行には「EECS(European Energy Certificate System)」と呼ばれる国際的なルールに則り、発行されるため信頼性が担保されています。

RECs

「RECs」については、米国拠点の企業の使用電力に対して、使用できます。ただし、「I-REC」や「GO」とは異なり、品質基準が担保されておらずRE100の対象にならない場合があります。そのため「Green-e」と呼ばれる再エネ証書の信頼性を保証する認証を受けている「RECs」であれば信頼性が保証された証書であると認められます。

RECsの条件
出典:RE100 TECHNICAL CRITERIA. (2025.May). CLIMATE GROUP RE100. を基に弊社作成 

国内のRE100加盟企業の取組事例

最後にRE100加盟企業の取組事例について紹介します。

株式会社リコー

株式会社リコーは、2017年にRE100に加盟した企業で、これはアジア地域として初めての加盟となります。RE100達成の取組として、2025年5月より子会社のリコージャパン株式会社が2050年を目標とした「脱炭素ロードマップV1.0」を策定し、リコージャパンの172事業所でRE100対応の電力メニューの利用を開始しています。

村田製作所

村田製作所は、2020年にRE100へ加盟しています。村田製作所は当初、RE100目標年を2050年に設定していましたが、2024年に15年前倒しの2035年を新たな目標年とすることを公表しました。RE100達成に向けて、蓄電池や再エネ制御ソリューション「efinnos」を組み合わせた再エネの有効活用、PPAの導入などを進め、国内4拠点と海外2拠点で再エネ100%の調達を実現しています。

イオン株式会社

イオン株式会社は、2018年にRE100への加盟を決め、日本で6社目の企業となります。RE100の目標達成に向けて、イオンモールに太陽光発電システムの導入をしており、国内73モール、海外19モールで導入しています。また、PPAモデルの導入やEVに蓄電した電力をモールで活用する実証実験などの取組も行っています。

まとめ

本コラムでは、2025年3月のRE100技術要件の改定から、RE100の詳しい概要まで幅広く解説しました。2020年には「発電開始から15年以内」という電源に関して限定するルールが導入され、さらに今回の改定では、「石炭混焼」の電力が排除されました。これにより単なる再エネの確保だけでなく、より追加性のある再エネの調達が求められる時代に移行しています。企業は再エネの調達手段や活用する証書の適格性をより慎重に見極める必要があります。

エスプールブルードットグリーンのサービス

弊社では、RE100目標達成に活用可能な国内/国外の再エネ電力証書を取り扱っております。RE100対応の証書などに関するお悩みがありましたら、弊社までご相談ください。

Q&A

「RE100」とはなんですか?
「RE100」とは「Renewable Energy 100%」の略称で、企業が自らの事業活動の電力使用量を再生可能エネルギー100%で賄うことを目指す国際的なイニシアチブです。
2025年3月の技術要件の改定での変更点はなんですか?
大きく3つの調達要件が変更されました。
  • 設備運転開始から15年以内ルールの緩和:再エネ設備が運転を開始または再稼働した直後に、規制上の理由で最大1年以内の遅延がある場合のみ、15年ルールの適用が免除されます。
  • 石炭混焼の電力使用禁止:石炭火力との混焼が一切認められなくなりました。
  • 証書の償却確認の徹底:すべての市場で再エネ証書の償却が義務化され、証明できなければRE100の対象外となります。
国内の証書で「RE100」に有効なものは何ですか?
「非化石証書」「グリーン電力証書」「再エネJ-クレジット」の3種類が有効です。
ただし、いずれも「15年ルール」の対象となる点に注意が必要です。なお、「非化石証書」については、トラッキング付きであればRE100要件を満たします。

監修者のプロフィール

榎本 貴仁の写真
榎本 貴仁
(株)エスプールブルードットグリーン 執行役員 営業本部長 兼 環境経営推進本部長

CDP回答やGHG排出量算定など、環境経営に関するコンサルティングサービスの営業本部長を務めています。

<出典>

About us. (2025). CLIMATE GROUP RE100. (2025.08.06) 

10 years of RE100. (2025). CLIMATE GROUP RE100. (2025.08.06) 

RE100 Members. (2025). CLIMATE GROUP RE100. (2025.08.06) 

RE100 TECHNICAL CRITERIA. (2025.May). CLIMATE GROUP RE100. 

国際的な気候変動イニシアチブへの対応に関するガイダンス~日本において再エネを活用する企業のためのスコープ2ガイダンスへの対応~. (2021. May). 経済産業省_環境省. 

An interview with Murata Manufacturing on its renewables leadership. (2025. May). CLIMATE GROUP RE100. (2025.08.07) 

RE100の達成時期を2035年度に前倒し、新たにカーボンニュートラル目標を設定. (2024. September). 村田製作所. (2025.08.07) 

脱炭素社会の取り組み. AEON MALL. (2025.08.07) 

国内外の証書制度の整理. (2024. February). みずほリサーチ&テクノロジーズ サステナビリティコンサルティング第1部. (2025.08.19) 

China Introduces New EAC Policy. (2024. September). The International Tracking Standard Foundation. (2025.08.19) 

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