ZEBとは?ZEHとの違いや補助金制度、取り組み事例を紹介!

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ZEBとは

ZEB(ゼブ)とは「Net Zero Energy Building」の略称。環境省のZEB特設サイトでは「快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと」と説明されています。また政府は2021年に閣議決定された第6次エネルギー計画の中で、「既築住宅・建築物について2050年に住宅・建築物のストック平均でZEH・ZEB基準の水準*の省エネルギー性能が確保されていることを目指す」ことを明記。政策目標の基準にもなっているのです。

ZEH・ZEB基準の水準*:ZEH基準の水準は、強化外皮基準及び再生可能エネルギー*を除いた一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から 20%削減すること、ZEB基準の水準とは、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から用途に応じて 30%または 40%削減、小規模建築物については、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から 20%削減することを指す。

再生可能エネルギー*:ここで言う再生可能エネルギーは敷地内に限定され、自家消費分に加え、売電分も対象に含まれる。

ZEBとZEHの違い

ZEBとよく似た用語の1つとして、ZEH(ゼッチ)が挙げられます。ZEHとは「Net Zero Energy House」の略称で、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目標としているという点ではZEBと共通していますが、対象物が異なります。ZEBが住宅を除く建築物を対象にしている一方で、ZEHが対象としているのは、住宅。具体的にZEHロードマップフォローアップ委員会*はZEHを「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」と定義しています。

ZEHロードマップフォローアップ委員会*:ZEH普及に向けたロードマップの策定やその実施を担う委員会

ZEBの種類と定義

ではZEBには、どのくらい種類があるのでしょうか?ZEBの種類は、下図で示されている『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの大きく4種類に分けられます。

ZEBの種類

出典:「詳しい説明 ZEBの定義」を基に弊社作成

それぞれ、どのような定義が定められているのか詳しく見ていきましょう。

『ZEB』

『ZEB』とは、年間の一次エネルギー*消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物のこと。具体的には、以下の2点を満たす建築物のことを指します。

  • ➀基準一次エネルギー消費量から再エネを除き50%以上の削減
  • ➁基準一次エネルギー消費量から再エネを含め100%以上の削減

ここで言う基準一次エネルギー消費量とは、設備、地域、室用途ごとに定められる、基準となる標準的な一次エネルギー消費量のこと。省エネ基準建物の基準一次エネルギー消費量は、空調・換気・照明・給湯・昇降機の総量で求められます。

一次エネルギー*:石油、天然ガス、太陽光など自然から採取できるエネルギーのこと

Nearly ZEB

Nearly ZEBとは、『ZEB』に限りなく近い建築物として、ZEB Readyの要件を満たし、そして再生可能エネルギーなどの創エネにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近付けた建築物のこと。具体的には、以下の2点を満たす建築物のことを指します。

  • ➀基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減(再エネを除く)
  • ➁基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の削減(再エネを含める)

ZEB Ready

ZEB Readyとは、『ZEB』を視野に入れた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物のこと。具体的には再エネを除いて、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減を達成している建築物を指します。

ZEB Oriented

ZEB Orientedとは、ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化や高効率な省エネ設備に加え、更なる省エネの実現に向けた措置を講じた建築物のこと。具体的には、以下の2点の要件を満たす建築物のことを指します。

➀該当する用途ごとに、基準一次エネルギー消費量から規定する一次エネルギー消費量の削減(再エネを除く)

A) 事務所等、学校等、工場等は40%以上の一次エネルギー消費量削減

B) ホテル等、病院等、百貨店等、飲食店等、集会所等は30%以上の一次エネルギー消費量削減

➁「更なる省エネルギーの実現に向けた措置」として、未評価技術の導入

ここで言う未評価技術とは、公益社団法人 空気調和・衛生工学会において省エネ効果が高いと見込まれ、公表されたもの指します。

複数用途建築物のZEB

ちなみにZEBは、複数用途の建築物にも適用することもでき、その対象範囲は

  • A. 建築物(非住宅部分)全体
  • B. 建築物(非住宅部分)のうち、一部の建物用途

の2通り。

複数用途建築物のZEB

出典:「詳しい説明 ZEBの定義」を基に弊社作成

Aの場合、複数建築物のうち評価対象となる用途全体を前述の『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの4段階で評価します。

Bの場合は、評価対象となる建築用途が含まれる建築物(非住宅部分)全体の延べ面積が10,000㎡以上であること、そして建築物全体(評価対象外を含む非住宅部分)において、再エネを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減していることを条件に、A同様に4段階で評価します。

ZEB化を進めるメリット

ここまで数あるZEBの種類や、その評価基準について解説してきました。では、実際に企業がZEBを検討する上で、誰にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下大きく4つのポイントに分けてそれぞれ見ていきましょう。

光熱費の削減

まず1つめが、光熱費の削減。環境省の調べでは、延床面積10,000㎡程度の事務所ビルで50%省エネのZEB Readyを達成した場合、創エネ設備がなくとも、約40~50%の光熱費を削減できることが報告されています。

この光熱費削減のメリットは、建物オーナーが主に使用する公共建築物や自社ビル等と、外部からの入居者が主に使用するテナントビル等で得られるメリットの範囲が異なります。具体的には、前者がオーナー単体でメリットを独占できるのに対して、後者はオーナーとテナントで利益を分け合う形となり、オーナーが得られる利益が目減りしてしまうことに。そのため、テナントビル等でZEB化を進める際には、その他得られるメリットにも目を向けて計画を行っていくことが必要となるでしょう。

快適性・知的生産性の向上

2つめが快適さや働きやすさなど、建物を訪れる人にとっての空間の質向上。現在、これらのメリットを金額換算するような研究や、CASBEEウェルネスオフィスやWELL認証のように健康や快適性、知的生産性に焦点を当てた認証制度も作られているため、これらのトレンド性は今後より一層高まっていくと考えられます。

また、高性能断熱材や自然換気といった技術を用いて建物のZEB化を行うことで省エネと快適性の両立を図り、従来の「大量のエネルギー消費による快適性の確保」や「過度な我慢によるエネルギーの節約」といったトレードオフの関係から脱することも可能と言えるでしょう。

多様な価値の向上

3つめが企業価値、不動産価値、街全体の価値など、多種多様な価値の向上。企業の環境経営に関心が寄せられる中で、建物のZEB化推進はCDPなどの情報開示フレームワークに活用できるだけでなく、CASBEEやLEED、BELSといった建築物に対する環境評価の認証制度においても評価ポイントの1つとなり、下図のように新規成約賃料UPなどの効果も期待できます。

新規成約賃料

出典:「ZEB化のメリット

事業継続性の向上

最後がZEB化による事業継続性の向上。創エネ設備の導入により、災害等の非常時でもエネルギーの自給自足ができるようになり、また創エネ設備未導入の建物であっても、省エネに取り組むことで必要最小限のエネルギー消費で建物の運営を維持することが可能です。

非常時の事業継続性は建物で働く人、その他の利用者に安心感を与え、また時には地域の防災拠点となるなど、多方面の貢献に寄与することができます。

ZEB補助金支援

ZEB化にはメリットが多数ある一方で、実行にはかなりの費用がかかるという課題も存在します。環境省を始めとして、各省庁はZEB化の多額の費用に対してさまざまな支援事業を行っており、以下ではその一例として環境省が扱う3つの補助金支援事業をご紹介いたします。

【1】ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業(経済産業省連携事業)

ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業

【2】LCCO₂削減型の先導的な新築ZEB支援事業(一部国土交通省連携事業)

LCCO₂削減型の先導的な新築ZEB支援事業

【3】CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業(農林水産省連携事業)

CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業

出典:「環境省 支援事業

ちなみに一部要件に記載されているZEBリーディング・オーナーとは、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)によって認証された、「ZEBロードマップ」の意義に基づき、自らのZEB普及目標やZEB導入計画、ZEB導入実績を一般に公表する先導的建築物のオーナーのことを指します。

また、要件として関与が求められるZEBプランナーとは、同様にSIIによって認定された、「ZEBロードマップ」の意義に基づいて、「ZEB設計ガイドライン」や自社が有する「ZEBや省エネ建築物を設計するための技術や設計知見」を活用して、一般に向けて広くZEB実現に向けた相談窓口を持ち、業務支援(建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計、コンサルティング等)を行い、その活動を公表する組織のことを言います。

新築・改修ZEB事例

続いて、実際にZEB化を行った事例を新築と改修に分けてそれぞれ紹介します。

新築

松野町新庁舎及び防災拠点施設概要
松野町新庁舎及び防災拠点施設のきっかけと導入技術

出典:「新築ZEB事例」を基に弊社作成

改修

ダイキン工業福岡ビル概要
ダイキン工業福岡ビルのメリットと課題

出典:「改修ZEB事例集」を基に弊社作成

まとめ

今回のコラムでは、ZEBについて詳しく解説しました。建物のZEB化は、オーナーだけではなくテナントやその建物の利用者、さらには地域の人々さまざまなメリットを生み出すものです。ZEB化を行う際には、各省庁が行っている補助金支援事業の活用、またSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)がHP上で公開しているZEBプランナー(ZEB化に向けた窓口を持ち、建築設計やコンサルティングなどを行いその活動を公表するもの)の利用やZEBリーディング・オーナー(「ZEBロードマップ」の意義に基づき、自らのZEB普及目標やZEB導入計画、ZEB導入実績を公にしている先導的な建物のオーナーのこと)の先行事例の参照など、さまざまなツールを活用することをおすすめします。

エスプールブルードットグリーンの支援について

弊社は環境経営におけるパートナーとして、CDPやTCFDなど各枠組みに沿った情報開示や、GHG排出量の算定のご支援をさせていただいております。『専門知識がなく何から始めれば良いか分からない』『対応をしたいけれど、人手が足りない…』といったお悩みを持つ方がいらっしゃいましたら、弊社にお声がけいただけますと幸いです。

【監修者のプロフィール】

 CDP回答やGHG排出量算定など、環境経営に関するコンサルティングサービスの営業本部長を務めています。

出典:

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル). 省エネポータルサイト.

ZEB・ZEH-Mの普及促進に向けた 今後の検討の方向性について. (2023, March 31). ZEB・ZEH-M委員会.

エネルギー基本計画. (2021, October). 資源エネルギー庁.

ZEHの定義(改定版) <戸建住宅>. (2019, February). 資源エネルギー庁.

ZEBに関する用語集. ZEB PORTAL.

ZEBプランナー. Sii 一般社団法人環境共創イニシアチブ.

ZEBリーディング・オーナー.  Sii 一般社団法人環境共創イニシアチブ.

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