「まさに思い描いていたとおり」のサポート内容で知識やリソース不足でも短期間でのTCFD開示を実現

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ロイヤルホストや天丼てんやなどの外食事業を中心とする四事業を柱に、実に70年以上にわたって“食”と“ホスピタリティ”を提供してきたロイヤルグループ。それらの各事業会社を統括するロイヤルホールディングスは、コロナ禍の危機に直面しながら急ぎサステナビリテイ対応を進めるため、どのようにブルードットグリーンのサービスを活用したのでしょうか。

サステナビリティ・CSR企画部のお二方に伺いました。 

コロナ対応に追われる中、TCFD開示などへの対応が急務に 

“ロイヤルグループの事業とサステナビリティへの取り組みについてお聞かせください。”

当グループは大きく四つの事業セグメントをビジネスの核としており、主力となる外食事業では、ロイヤルホスト、天丼てんや、シズラー、ロイヤルガーデンカフェ、シェーキーズをはじめ多様なブランドを全国で展開しています。またコントラクト事業では空港、高速道路SA・PA、エンターテインメント施設、オフィスビル、医療・介護施設、官公庁といった各種契約施設などでの飲食店および売店を運営。ホテル事業では日本各地でリッチモンドホテルや提携ホテルを展開し、食品事業ではグループ内事業向けの食品製造のほか、家庭向けフローズンミールの製造・販売などを行っています。 

サステナビリティに関しては、食品ロス対策やプラスチック製ストローの提供廃止、アメニティ使用量の削減など、事業に関わりの深い部分から取り組みを進めていました。しかし2020年、日本でも新型コロナウイルスの感染が広がり、緊急事態宣言も発出。いっそう踏み込んだサステナビリティ対応の必要性を感じながらも、全社を通じてコロナ禍の打撃からの回復に追われる日々が続きました。 

ロイヤルホールディングス株式会社 
執行役員 
財務企画、サステナビリティ・CSR企画担当 
財務企画部長(兼)サステナビリティ・CSR企画部長 
串田 覚さん 

そうした中、ご存知のとおり2021年には、証券取引所におけるコーポレートガバナンス・コードが改定され、東京証券取引所のプライム市場の上場企業には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に準じた情報開示が求められるようになりました。やはり今後は社会面・環境面においても、企業が世界基準で物事を考えるべき時代に入ってくる。そんな危機感が社内でも高まり、2022年2月に発表した中期経営計画では、目標としてCO2排出量の削減やコーポレートガバナンス・コードの全原則対応を掲げました。

そして同年6月には、経営企画部内に置いていたCSR推進担当セクションをサステナビリティ・CSR企画部に改組。気候変動対策やTCFD開示、マテリアリティ策定などについて、取り組みを進めていくことになります。しかしコロナ禍の余波が続く中、社内で対応するには人手も、また知識も足りません。これは外部の専門家の助けが必要だと考えたわけです。 

高い専門性を持ち、共に手足を動かしてくれる支援先を希望 

“支援企業としてブルードットグリーンを選択された経緯をお教えください。”

先ほど挙げたTCFD開示やマテリアリティ策定は、2023年の株主総会前を目標としていました。そこでTCFD開示については、何社か環境経営の支援企業に相談させてもらったのですが、当社の希望に合うところにはなかなか巡り会えませんでした。およそ半年後に迫る株主総会までに成果物を出すというスピード感に加え、高度な専門性を持って私たちがすべきことをリードしつつ、一緒に手足も動かしてもらいたい。このような高い要求に応えてくれる支援企業はそうそうないということがわかりました。 

そんな時、当社の取引先から勧められたのがブルードットグリーンでした。話を聞いてみると、当社事情を考慮してスケジュールを調整いただける上に、当社がお渡ししたデータを基に開示文書の文案もご用意いただけるなど、まさに私たちが思い描いていたとおりのサポート内容でした。1回目のお打ち合わせ後、ほぼ即決という形で支援をスタートしていただきました。 

ロイヤルホールディングス株式会社 
サステナビリティ・CSR企画部 
小林 麻紀子さん 

実際、実作業に入ってからの各回のミーティングも、事前に準備した内容を丁寧に説明した上で、こちらの疑問にもすぐその場で回答していただけるなど、毎回、非常に密度の濃いものになりました。難しい専門用語やその概念もかみ砕いて説明してくれたので、理解もしやすかったです。そしてミーティングの終わりには、次回の内容のブリーフィングを行うといった配慮もあり、ゴールに向かう道筋をクリアにイメージしながら作業を進めることができました。 

情報収集に十分な時間を割くのが難しいという状況の中、担当者として必要な知識についても少しずつ理解を深めながら、着実に作業を進めていくことができたのはとても助かりました。また、何か困りごとが起きた時には、非常にスピーディーに対応してくれたので、安心して自分たちの作業に集中することができました。

自社の現状と対策コスト、リスクなどをより具体的な形で認識 

“サービス導入の成果と、その後の波及効果についてはどうお考えですか。”

実は今回の開示にあたり、各事業の関連会社から出してもらったCO2排出量などの数字には、業務対応の統一などにおいて不十分な面もあったため、それらをどうまとめるのかという点に不安がありました。しかしこれもブルードットグリーン側でしっかりと整えてくださり、希望どおりのタイミングで、外部の専門家の精査を経た数字として対外的に開示することができました。これは、グループ内の実態をより正確に把握する上でも非常に有意義だったと感じています。 

排出量算出の際には、併せて「温室効果ガスの排出量を2030年度までに2013年度比で46%削減する」という当社の目標を仮にカーボンオフセットで実現した場合、現状だとどの程度のコストになるのかも教えていただきました。CO2の削減量だとなかなかイメージが湧きづらいですが、コストになれば誰もがその課題の大きさを把握できるようになります。おかげで社内の危機意識も高まり、一つ上のレベルで議論ができるようになったと感じています。また、シナリオ分析を行う過程で「当社は多くの店舗を持っているため、洪水や津波といった災害に対して備えをより厚くしておくべきだ」ということも改めて強く認識した次第です。 

今後は具体的な削減に向け、サステナビリティに対するグループ全社の意識をさらに高め、実際の施策を進めていくフェーズに入ります。その上で一つ、実務サイドとして取り組みたいと考えているのが、排出量算出に向けた仕組みづくりです。「46%の排出量削減」という目標に向け、グループ全体でデータの出し方を標準化しておけば、データ収集もよりスムーズになり、分析や対策の策定も行いやすくなるはずです。今回の支援を通して、このような気づきにもつながりました。 

専門性とスピードが求められる分野では外部活用が合理的 

“最後に、今後の取り組みへ向けた抱負をお聞かせください。”

“食”と“ホスピタリティ”を提供する企業として、まずは「食の安全・安心」をいつ何時も崩さず守っていくことが不可欠であると認識しています。また1956年に当グループの創業者が制定した「ロイヤル経営基本理念」の中で「サービス・販売は、お客様の心を楽しませ、社会を明るくするものでなければならない」と謳われています。これはまさに現代のサステナビリティの考え方に通じるものでしょう。

この経営基本理念を礎に、持続可能性を高める上で社会価値・経済価値を積み重ねていくことが大切だと考えています。また、当社では現在、食品ロス削減に向けた環境省のモデル事業「mottECO」(食べ残し持ち帰り啓発活動)へ、当社以外の外食企業やホテル運営企業、自治体などと連携しながら参画しています。このように同じ志を持つ外部の組織と連携しながら、サステナブルな外食事業の運営モデルを創り上げていくということも一つの鍵になるでしょう。 

当社が掲げた「2030年度に2013年度比46%の温室効果ガス排出量削減」という目標を実現するには、各種施策を実行しながら、その成果を検証し、外部に発信していくことが必要になります。気候変動の領域では、高い専門性が求められる上に、状況や求められる要素が刻々と変わっていきます。こうした分野では、社内で人材を一から育てるより、専門性を持つ社外のパートナーの力を借りた方が、スピード面でも、コスト面でも、成果物の質の面でも合理的です。今回のブルードットグリーンとの連携によって、このような割り切りが企業にとって高い価値につながるという思いはより強くなりました。 

来年度のTCFD開示やCDP回答といった直近の課題だけを考えても、私たちが学ぶべきことはまだまだたくさんあります。今後も引き続き、ブルードットグリーンと情報を交換し、さまざまな意見や提案をいただきながら、お付き合いを深めていければと考えています。 

[企業紹介]
ロイヤルホールディングス株式会社 
https://www.royal-holdings.co.jp 

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