3年間でCDPスコアは「B-」から「A-」へ「企業のポテンシャルを引き出すサポート」とは

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スーパー、コンビニなどに並ぶ、多種多様な弁当や惣菜。盛り付けに使用される食品トレーの「およそ3つに1つ」はエフピコの製品です。

レンジで加熱できる耐熱容器やカラートレーの 開発といった新しい価値を社会に届けるとともに、1980年から使用済み食品トレーの自主回収に取り組むなど、積極的な環境活動を展開してきました。

同社サステナビリティ推進室の若林大介さんは、CDP回答などの成果を土台に「数十年先までを見据えて、時代の変化に対応できる組織へと進化していきたい」と語ります。

1980年代から環境問題と向き合い、独自の活動を展開

“これまでの取り組みについてお聞かせください。”

当社の事業は食品トレーの製造です。1962年の創業から着実な成長を遂げており、シェア率は業界トップのおよそ30%。年間で2000を超える新たなアイテムを開発するなど、現状に満足せずに常にチャレンジし続けています。環境への対応については、容器包装リサイクル法に先がけて1980年に使用済みトレーの自主回収に着手し、1990年には「エフピコ方式のリサイクル」という四者一体のリサイクルをスタートさせました。スーパーなどの店頭に回収ボックスを置いて使用済み食品トレーやペットボトルを回収し、原料に戻して再び食品トレーをつくる仕組みです。

株式会社エフピコサステナビリティ推進室
サステナビリティ企画推進課
チーフマネージャー 若林 大介さん

こうした動きの背景にあったのが、ダイオキシン問題やごみの埋め立て地のひっ迫などの、社会問題として全国的に深刻化していたごみ問題でした。プラスチックを扱うメーカーとしての責任を果たすべく、常に向き合ってきた大きな課題です。食品トレーは薄くて軽いことが特徴ですから、省資源化や生活の利便性の向上に貢献しているとして高い評価をいただいてきました。その一方で、食べ終わったら「かさばるごみ」として捨てられてしまう側面もあります。ごみの量を減らし、循環型社会の確立を目指す上で、当社が出した答えのひとつが「エフピコ方式のリサイクル」だったわけです。

「スコアのアップは十分に可能」 その言葉どおりだった

“CDP回答に関してどのような課題を感じておられたのでしょうか。”

こうして環境活動を推し進めてきた中で、世界的に持続可能性を求める声が高まり、学生たちは就職先としてサステナビリティに力を入れている企業に注目するようになりました。当社が40年以上にわたって取り組んできたことが、まさに時代の要請とシンクロしていることを感じています。しかし、世の中が変化していくスピードが増しているということは、いつの間にか後れをとってしまう可能性もあるということです。そこで、第三者の視点から当社を取り巻く環境や取り組んでいることについて整理し、より的確なアップデートを実施していく必要があると考えていました。

CDP回答に関しても、やはり自社のリソースだけで対応していくには限界があると感じていました。データそのものはずっと集め続けているが正確性などの品質について判断することができない、作業については属人的な側面があり担当者でなければ分からないことが多いといったことが積み重なった結果、「B」まで引き上げたスコアは「C」にダウンしてしまいました。その対策として一度コンサルティングファームにサポートを依頼して再び「B」にアップしたものの、翌年には「B-」に下降してしまうなど、なかなか一定の評価を維持できない状況が続いていたのです。東証プライム企業として、どうすれば外部からの評価を効果的に取り入れられるのかを探っていました。

ブルードットグリーンのサービスを導入しようと決めたのは、まさにこのタイミングでした。実は別のコンサルティングファームに決まりかけていたのですが、アプローチしてきたブルードットグリーンの営業担当者の言葉に「勢い」を感じたこと、また回答文書の作成サポートをはじめとする支援プランの内容が魅力的だったことや、当社ができること・できないことを明確に伝えてくれる歯切れの良さなどに可能性を見いだし、依頼してみることにしました。

当社のポテンシャルとして「スコアのアップは十分に可能です」と言ってくれた通り、スコアは、「B-」から「B」、そして食品トレー業界としては最高である「A-」へ、年を追うごとにランクアップを果たすことができました。

ブランディングやビジネス創出にもつながっている

“支援を受けて準備を進める過程でどんな発見がありましたか。”

自分たちだけで準備をして回答に望むことと、サポートを受けて客観的な第三者的立場から取り組みを整理してもらうのとでは当然ながら大きな違いがあり、さまざまな気づきがありました。例えば「B-」から「B」へとアップするまでの間に、社内での取り組みとして特別何かを始めたり、大きく改善したりしたわけではありません。それでもスコアが上がったのは、アドバイスによって「スコアラーに対してきちんと伝わる表現」として回答できたからです。自社内だけで回答を完結していたら、きっとスコアは変わらないままだったでしょう。これまでなら自分たちで見つけることが難しかった当社のポテンシャルを、引き出してもらったということだと思います。

また、毎年6月ごろに実施する模擬採点と回答の振り返りによって当社に足りないものが明確になり、「翌年の回答までに何を改善しなければならないか」を把握できることも評価できるポイントだと思います。その年に進めている回答準備のみをターゲットとするのではなく、さらに翌年の回答のことまで考慮した提案をしてくれますから、早い動き出しによって計画的に備えることが可能です。

業界における環境への取り組みをけん引できる企業として、当社はファーストコールカンパニーでありたいと思い描いています。環境に関する課題に直面しているステークホルダーが、最初にエフピコのことを思い浮かべて問い合わせてくださる、そんな流れに向かいつつあるという手応えがあります。実際、「CDPの回答にどう対応したらいいのか」「環境活動をうまくアピールしたい」などと相談されるケースも増えており、関心の高さを感じているところです。

例えばスーパーのイートインコーナーで環境イベントを開き、お店でエコな容器を使っていることや、リサイクルに取り組んでいることを来店されるお客様に印象付けるといった情報発信のお手伝いもしています。こうした機会は、当社にとっても同業他社との差別化を図り、存在感を示していく好機です。環境対応を当社のブランディングに活用し、担当者の現場レベルを中心としたお付き合いから、企業の経営層も巻き込んで経営課題解決に挑む「企業と企業」の関係へと発展させていく。そんな新たなビジネスチャンスの創出を期待しています。

社内の意識を底上げして持続可能な組織へ

“今後の成長イメージなどをお聞かせください。”

プラスチックごみ問題など目の前にある事象への対応がメインだった時代から、環境を含めた社会課題の解決を目指して、積極的に自社のビジネスや取り組みを「変えていく」「前進させていく」フェーズに入りました。サステナビリティ推進室には、「環境の視点から製品に付加価値を与えるにはどうすればいいのか」「ポスターにエコマークを入れても問題ないか」「CO2削減の数値的なエビデンスがほしい」など、各部門からさまざまな相談が寄せられます。まさに環境の総合窓口の役割ですから、引き続き社外に向けた情報発信に注力しつつ、社内体制の整備、環境に対するより高い意識を醸成する工夫を凝らしていきたいと考えています。

サステナビリティや、環境に関わる情報はどんどん更新され、新しい知識が求められます。誤った解釈で情報を発信してしまうことは避けなければなりませんから、当室として使用する語句や、サステナビリティ関連の認証の活用などを統一することは非常に重要です。ブルードットグリーンの支援で取り組んだCDP回答は、現時点で当社がどんなものを持っているのか、また何が足りないのかを「棚卸し」して、目標を定めるための指標になってくれるものです。この成果を土台として、数十年先を見据えた「時代の変化に順応できる組織」をつくりたいと思っています。

[企業紹介]
株式会社エフピコ
https://www.fpco.jp/

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